菅野利剛さん

1973年生まれ｜岩手県北上市出身｜2015年移住

現在の店舗が中古物件として売られていることを知り、運命的な出会いを感じる。
先代から事業承継を受け、2015年に「珈琲とパンの店 美豆木」としてオープン。

店舗物件との運命的な出会い

13年ほど東京や埼玉のパン屋さんで働いていました。その後、実家のある岩手に戻り、自分の店を持とうと店舗物件探しを3年くらいしましたが、なかなか良い物件に巡り会えませんでした。それで妻が秋田出身ということもあり、岩手で探しても見つからなかったので秋田でも探してみたところ、現在の店舗が中古物件として売られていることを知りました。その店舗は元々歴史あるコーヒー専門店で、先代の方が27年間営んできたお店を「誰かやりませんか？」という後継者の募集案内も付け加えられていて、その時、これは運命的な出会いだと感じました。
ちょうどその頃は40歳という人生の折り返し地点で、これからの残りの人生を考えるタイミングでもありました。いずれは自分の店を持ちたいと思っていましたので、やるなら今しかないと考えました。さらに事業承継となると、全くのゼロからのスタートではなく、先代が教えてくれて、お客様も引き継げるので、ある程度の土台が揃っているのでこれはチャンスだと思いました。実際の事業承継期間は10ヶ月くらいで、私は岩手で働きながら秋田県事業引き継ぎ支援センターの担当者さんと電話やメールでやり取りをしながら手続きを進めていきました。先代の方に直接教わったのは１、2回だけで、あとは自分で頑張りなさいという感じでした。

お客様の声に応えられるよう試行錯誤の日々

長年パン作りをやってきましたが、コーヒー作りは経験がなかったので、始めはとても不安でした。しかも、コーヒー専門店のお客様の口が肥えていて、しばらくの間は「この味は違う」と言われていました。このようなお客様の声に応えられるようになるのか不安になりました。新しいお客様であれば問題のないことなのですが、ここが事業承継の難しいところで、長年その味に親しんできたお客様を満足させられるようになれるのか、プレッシャーになっていきました。ですが、絶対にお客様の期待に応えたい、満足させたいと強く思い、自分からお客様に声を掛けるようにしました。どの辺が違っているのか、どうすれば求めている味に近づけるのか教えてくださいと直接聞くようにしました。そこで教えられたことを参考にして、自分で試行錯誤の日々が続きました。その結果、今でもずっと通ってくれる常連客の方が多くいらっしゃるので、自分のやり方は間違っていなかったと思っています。

あんべいいところ

都会に住んでいた頃、電車に乗れば、周りの人みんな元気がなく、疲れきっているように感じていました。また、人と比べたりすることに疲れてきた時期でもありました。そういった都会での生活に疲れてきたタイミングで、人と比較するのではなく、自分のやりたいことはなんだろう？と考えるようになりました。年齢を重ねていくと考え方も変わっていき、田舎で暮らしたいと思うようになっていきましたね。
始めは地元岩手への移住を考えていましたが、こうやって秋田市で暮らしてみると良いところがたくさんあることに気づきました。まずは、生活がしやすく、自然も豊かで、いろんなことがちょうどいい、あんべいいところです。それから、私のように移住してきた人にはみんな優しく、いつも気にして声をかけてくれます。こういった受け入れてくれる雰囲気が嬉しかったし、初めて人間って優しい、温かいなぁと感じさせられた場所でもありました。自分のやりたいことをやっていれば、新たな土地でも道は開けていくのだと思いました。

移住を考えている人へのメッセージ

人生とは先のことは分からないので、私は今日が幸せであればそれで良いと思っています。秋田市に拘らなくても良いとは思っていて、そこでの生活が幸せなものであれば、場所はどこでも良いのです。そうなのですが、本音を言うと秋田市で暮らすことは良いことだと思っています。秋田市は台風などの災害が少なく、それだけでも良いところです。都会的なところもあり、地域の繋がりもあります。海もあり、山もあり、ちょうどよく住みやすい街です。だけど、寒いところだけはちょっと我慢してください。

インフォメーション

珈琲とパンの店 美豆木

住所：秋田市保戸野原の町2-43
電話番号：018-866-3301
営業時間：10時30分〜17時（金曜日＆土曜日は18時まで）
定休日：日曜日
駐車場：あり

美味しいものを食べる瞬間は幸せだと感じる時。その瞬間をお手伝いさせてもらっていることがありがたく、素晴らしい職業だと思っています。そういった幸せな時間をお客様に感じてもらえるお店であり続けたいと思っています。