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秋田市で中国料理店を開業!チャレンジも、子育ても、支えてくれる街。
武内良太さん/1985年生まれ、秋田県横手市出身。岩手県盛岡市の調理師専門学校を卒業後、2005年に上京。都内で複数の中国料理店に勤め、料理長も経験する。2019年に秋田市へ移住後は、市内の中華料理店で勤務。2021年3月に「美・中国菜 武陵源」をオープン。
武内奈美さん/1984年生まれ、山形市出身。東京都の調理師専門学校を卒業後は、都内のホテルや学校給食センターで調理師として勤務。移住後は、秋田市内の料理店で勤めた後、「美・中国菜 武陵源」を夫とオープン。
夢は、中国料理で秋田の食材を魅せること
秋田県横手市の農家に生まれた武内良太さんは、都内で中国料理店のシェフを14年勤めたプロの料理人。2019年3月に秋田市へ移住し、2年後の2021年3月、秋田市中通に本格的な中国料理を提供するお店「美・中國菜 武陵源」をオープンさせました。
子どもの頃から手伝っていた農作業をきっかけに、秋田の食材を活かす仕事に興味を持ち、「いつか秋田で店を開くこと」を目標に修行を積んできた良太さん。「いいものは残していかないと、と思っているんです。高校生の時は毎日食べる地元の食は当たり前のものでしたが、東京に行って改めて秋田の食材のおいしさ、豊かさを再認識しましたから」と話します。
良太さんが学んだ広東料理は、中国料理の中でも素材の味を引き立たせるのが得意で、野菜の茹で方から、片栗粉の流し方まで他とは違う調理法です。いろいろなお店の中国料理をリサーチした上で、自分がつくるお店は、秋田の食材を魅せることができる広東料理をメインにしようと決めました。
東京で出会った妻の奈美さんも、同じ調理師。都内のホテルや学校給食などの現場を経験してきたことを活かし、現在、良太さんと一緒にお店を切り盛りしています。そんな奈美さんは、東京で長女・次女・三女を出産し、人の多い都会の環境で子育てしながら働くことに、少し疲れを感じていたと言います。
「夫が秋田で店を持ちたいことは前々から聞いていて、応援しようと決めていました。私は山形市出身で、自然の多い東北の良さを知っていたので、田舎で暮らすっていいなとずっと思っていました」と奈美さん。
移住へ一気に進んだ「移住相談八重洲センター」
秋田での独立を目標にしていた良太さんですが、秋田の状況が分からない中で移住・独立することに少なからず不安も持っていました。そんなある日、奈美さんがたまたま1本のCMを目にします。
「2018年ごろでした。移住相談ができる場所が東京にあることを、テレビCMで知ったんです。これだ!と思って、すぐ秋田県のAターンサポートセンターに電話しました」。
そこからは、一気に話が進み始めます。まずは秋田県から秋田市移住相談八重洲センターにつないでもらい、その後、移住に関する情報をメールで受け取れる「移住希望登録」を行いました。
「そのメールで秋田県内の企業との面談や移住相談ができる『Aターンフェア』が東京で開催されることを知って、行ってみました。そこでは移住のサポート情報はもちろん、小学校の勉強の教え方や、小学1~6年生が実際に使っているノートの展示など、教育事情も教えてもらうことができました。秋田は学力が高いと聞いていたので子どもたちが学校の授業についていけるか不安だったんですが、実際に教育現場の話を聞けたのは安心感につながりました」。
このイベントで不動産会社の社長と知り合い、現在の店舗物件を紹介してもらうことができました。「いろんな情報を得られるようにしたことで、移住への動きが加速した」と良太さん。その後、次女の小学校進学や、良太さんが勤めていた料理店の移転のタイミングを機に、 2019年3月に一家で秋田市へ移住しました。
子どもはのびのび遊べて、成績もUP!
移住にあたって、長女の転校を心配していましたが、すぐに馴染んでくれて安心したという良太さん。学校の話を楽しそうにしてくれるだけでなく、なんと成績も上がったんだそうです。「先生の教え方や、少人数制クラスで先生の目の届く範囲で勉強できることも良かったのでは」と良太さんは話します。
山形市出身の奈美さんは、知らない土地で子育てするにあたって一番困ったのが「情報」だったと言います。土地勘がないので、どこに何があるのか分からず、スマホで調べる日々。しかし、秋田市の担当者の方が保育園事情を教えてくれたり、不動産屋さんが小児科やスーパーの場所を教えてくれたりと、少しずつ情報を集めながら、不安を解消していったと言います。
移住する際は、子育て世帯対象の「秋田市子育て世帯移住促進事業」で、引越し代や賃貸物件の初期費用を補助してもらえたのも大きな助けになりました。未就学の次女、三女がいたため、待機児童ゼロという秋田市の保育環境も安心感につながりました。
「道の駅や広い公園、海や山。子どもたちをのびのびと遊ばせられるスポットが身近にあるのが、秋田市のいいところですね」とおふたり。安心して子育てができるのはもちろん、家族みんなで充実したオフタイムを過ごすことができています。
ここはチャレンジできる街
お店を開業するためには、初期の設備投資にお金がかかります。そこで良太さんは、秋田市の「創業支援事業」や「中心市街地商業集積促進事業」(現中心市街地等空き店舗対策事業)を使い、新たな事業を始めるにあたって経費の一部を補助してもらいました。
「他にも、秋田信用金庫のまちづくりファンドや、秋田商工会議所の起業塾など、本当に手厚いサポートがありました。これらのサポートは、八重洲センターで教えてもらわなければ、知ることができなかったと思います」。
良太さんは何度も八重洲センターに足を運び、不安に思ったことを尋ねたり、移住の情報を集めたりしたと言います。「チャレンジしたい人が安心してチャレンジできる」。そんな仕組みが、秋田市には整っています。
「移住に大切なことは、行動することだと思います。移住のイメージがしやすくなるので、実際に秋田市に足を運ぶのがおすすめです」と良太さん。移住と起業を両方叶えた良太さんは、これから食育活動にも力を入れていきたいと考えています。「本格的な中国料理を秋田の子どもたちに知ってもらい、子どもたち自らが作って食べる機会を作っていきたい」と、まだまだ秋田市でのチャレンジは続いていきます。